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門間屋とは

創業以来140余年、変わらぬ場所で製造を続ける唯一の仙台箪笥製造元です。

昭和初期、仙台には多くの仙台箪笥の職人がおりました。当時は一人職人(ひとりしょくにん)での分業による製造が当たり前でしたが、3代目の民造(たみぞう)は職人たちが自分の作った箪笥に誇りと責任を持てるよう、指物・塗のそれぞれの工程を一人の職人に任せ、自社工房にて一棹まるごと誂えることのできる体制を整えました。

門間屋ならではのお直し「一棹養生(ひとさおようじょう)」と万全なアフターサービスが可能になっているのもこうした体制の賜物です。民造は職人としての修業に加えて体系的に指物技術を学び、ブルーノ・タウトらの工芸指導所にも関わり、日本人の生活様式の変化に併せたデザインとして「小箪笥」を考案しました。小箪笥は今では仙台箪笥の定番として、国内外多数の重鎮から愛用されています。

その意志と想いを受け継ぎ、門間屋では若い職人を育成し、仙台箪笥の技能を継承し続けることで100年後もお直しやお誂え(あつらえ)ができるようにしていたいと考えています。また、箪笥との接点が希薄な若い世代に木の文化や仙台箪笥に触れる機会を設けています。

長期的に仙台箪笥を普及させ、時代を越えて本物の技と伝統美そして生活文化としての仙台箪笥を伝えていくことは、私たちの大切な使命です。

仙台箪笥とは

発祥は諸説ありますが、伊達政宗公が仙台藩を収めていた時代に仙台藩の大工の棟梁であった梅村日向(ひゅうが)によって建具の一部として作られたのが始まりとも言われています。

仙台箪笥の特徴は指物・塗・金具の「三技一体(さんぎいったい)」による堅牢な美しさ。木地指物の側面には杉、前面は欅、引出し内部には吸湿性の高い杉や桐を使っています。湿気や乾燥による自然の“くるい”を防ぐため、木地には10年以上寝かせた素材を使用し、熟練の職人が一つ一つ、手で感触を確かめながら丁寧につくっていきます。塗りには日本の誇る岩手県浄法寺産の浄法寺漆を使用。全部で30工程ほどの塗り・磨きを重ね、顔が映るくらい磨き上げる「木地呂塗」の技法によって「鏡面仕上げ」で仕上げます。唐獅子や牡丹などの縁起物や家紋をモチーフとした金具は錆びが出ないよう、漆で焼き付けした後に取り付けます。こうして三つの技が重なり合って完成するのが「仙台箪笥」です。

かざり金具は、主に龍や牡丹、唐獅子等の縁起物や華やかな印象のものが多く、隅金具等はツタ(唐草)をモチーフに下柄が一般的です。

年を重ねるごとに、真の漆ならではの奥ゆきある色あいと光沢、木目の重なりが表情を変えて醸し出す、唯一無二の味わい。

『伊達男』の語源にもなったほど、派手で豪華なものを好む伊達政宗公ならではの気風と堅牢性を感じていただける逸品です。
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